ドラムは、その音が飛翔の推進力として働きます。
他にも、精霊を招くために使ったり、トリップする際の舟として使ったたり、霊を救い上げる容れ物として使われたりすることもあります。
ドラムはシャーマンの象徴でもあります。
ですから、ドラムは自分だけのものでなくてはなりません。
一般に、アルタイ、シベリアのシャーマンのドラムは、片方に鹿か馬の皮を張ります。
ドラムに使う木枠は、人里離れた樹から取り、その樹には供犠獣や酒を供します。
場合によっては、雷が落ちた樹や、曲がった樹を使います。
神話的には「世界樹」から作られるべきものです。
オルガ・カリテディーによれば、アルタイの新入りシャーマンが、自分のドラムを獲得する際には、そのドラムの皮である鹿の魂そのものをドラムに入れなければなりません。
これは、捕まえた鹿の皮から、物理的にドラムを作った後の作業として行います。
その新入りシャーマンは、すでに亡くなっていた先代シャーマンによって、この作業を助けられました。
彼は、先代のシャーマンによって、トランスのヴィジョンに引き込まれたのです。
彼は、ヴィジョンの中で、その鹿が生まれる直前にタイム・トリップしました。
その子鹿が生まれるやいなや、新入りシャーマンは自分で子鹿を捕まえます。
そして、それを現代に持ち帰り、そのまま、現実世界のドラムに、手でその魂を押し込んで入れます。
こうしてドラムは魂を持ったものとなって初めて、シャーマンのトランスを助ける道具となるのです。
一般に、ドラムには、他の複数の精霊を入れることもあります。
その後、ドラムには、シャーマンが飛翔して見た世界の様子や、地図を描きます。
また、シャーマンが亡くなった時には、誰かがドラムを破り、その魂を返してやらなければなりません。
*南シベリアのシャーマンの太鼓に描かれた図(シャーマニズムの世界)
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