2020年10月08日
遊離した魂を連れ戻す
魂が遊離して重病になった人がいると、シャーマンはその治療のために、トランス状態で魂を取り戻す旅に出ます。
このページでは、「死者の国」に魂を捕らえられた人の魂を連れ戻す、アルタイ・シャーマンの旅を紹介します。
これは、南北アメリカのシャーマが、「パワー・アニマル」を連れ戻す治療の旅と似ています。
つまり、シャーマンは、トランス状態になって「補助霊」達とともに「地下世界」に飛翔し、魂を見つけて持ち帰り、患者の体に入れるのです。
もちろん、地域の違いで、「地下世界」への行き方や、その様子には違いがあります。
まず、シャーマンは、馬の霊に乗って、南に向かって旅立ち、山の中に行きます。
途中には、そこで力尽きたシャーマンや馬の骨が散らばっています。
山の中で、「地下世界」へ降りる穴(洞窟)を見つけて、そこから降りていきます。
すると、平野に出ますが、そこを進んで行くと、細い橋がかかっている川、あるいは、海に出ます。
シャーマンはこの橋を進みますが、落ちて死んだシャーマンの骨や、死後にこの橋を渡れなかった罪人が苦しんでいるのが見えます。
橋を渡った後、邪魔をする番犬をはねのけ、門番の召使いに贈り物をしたりして「死者の国」の王(エルリク・カーン)の天幕(宮殿)に入ります。
王と対面すると、自分と先祖シャーマンの名を名乗り、供物を捧げ、王に酒を勧めます。
そして、目的の魂を見つけて連れ帰ります。
地域・部族によっては、帰り道は、鷲に乗って帰ることもあります。
また、魂を一旦、最高天にまで連れて行って、浄化してから帰ることもあります。
また、「地下世界」が7層(7つの障碍と呼ばれます)になっていて、それぞれの層でそこの神霊と出会いながら降りていくこともあります。
「死者の国」では、シャーマンは、仮面をつけるなどし「死者の国」の霊達から見られないようにすることもあります。
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