これらは、「魂の世界への入口」、「変身への入口」だとも考えられています。
幻覚植物を摂取した場合にもこれらが現れます。
幻視は、「内部閃光」などと称される、幾何学的な図形などです。
世界中の石器時代の洞窟壁画やペトログリフには、そのような図形が多数、描かれています。
*トゥカノ族の描いた内部閃光のパタン(神の発明)
ですが、普遍的な生理的な「内部閃光」のパタンと、各地それぞれで見られる絵記号、彫刻記号は必ずしも一致しません。
ハインリヒ・クルーヴァーは、「内部閃光」の基本パタンを「格子」、「クモの巣」、「トンネル」、「螺旋」の4つとしました。
また、デヴィッド・ルイス=ウィリアムズ&ドウソンは、「内部閃光」と洞窟壁画、ペトログラフを研究して、共通する基本パタンを「格子」、「平行線」、「ドット」、「ジグザグ」、「巣状曲線」、「細かい網の目」の6つとしました。
「内部閃光」は普遍的だとしても、それをシャーマンが認識して象徴的な記号として解釈すると、部族的な違いが生まれます。
*デヴィッド・ルイス=ウィリアムズ&ドウソンによる6パタン(洞窟へ)
ウィリアムズ&ドウソンが言う「巣状曲線」は、「光の弧」とも表現されます。
洞窟壁画には、「光の弧」の向こう側に半獣半人の精霊(あるいは変身したシャーマン)を描く図や、「光の弧」から動物が出て来るような絵があります。
*アフリカのサンの絵(洞窟の中の心)
*同上
一方、幻聴は、「ブーン」という蜂の飛ぶ音や、低い唸り声のような音です。
これらは、精霊の呼び声などと考えられることもあります。
部族の成人式のイニシエーションなどでは「うなり板(木)」という、ひもを付けて振り回すとブーンという音がする楽器が使われますが、これはこの幻聴を再現した音でしょう。
サン族は、「巣状曲線」の幻視とこの幻聴を合わせて、「蜂の巣」と考えます。
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