かつて、カナダのマクマレーの市長が、ワシントン条約によって、インディアンに定住と農業を要求した時に、ワナプーム族の酋長のスモハラが行った返答は、有名です。
◇◇◇◇
あんたはわしに土地を耕せと言う。
わしにナイフを持って母親の胸を切り裂けと言うのか?
わしが死ねば、もはやわしをその胸に憩わせてはくれぬだろう。
あんたはわしに石を求めて掘れと言う。
わしに母の肌の下のその骨を掘れと言うのか?
わしが死ねば、蘇るために母の体を角絞めることももはやかなわない。
あんたはわしに草を刈り、藁を作り、それを売り、白人のように金持ちになれと言う。
どうしてわしに母親の髪を切ることができるというのか?
これは悪い決まりである。
我が一族はこのような決まりを守ることはできない。
わしは、我が一族は、わしのいるここに残ることを望む。
すべての死んだ者は新しい生へと目覚めるだろう。
彼らの霊は再びもとの体に戻るだろう。
我々は父祖の棲むこの地で待たねばならぬ。
◇◇◇◇
この酋長の世界観は、狩猟文化のそれです。
「原地母神(太母)」の自然な創造性を信仰し、不要な生命の殺傷を行いません。
ですが、田畑を耕すことは、地母神である大地を傷つけることであり、そこにいた植物を殺し、動物を追いやることです。
農業文化が行うこの自然破壊、生産の強要は、自然な大地の創造力の否定であり、それは同時に、人間の自然な無意識の創造力を否定することでもあります。
自然に生まれる恵みだけを受け取って生きる狩猟民にとって、それは耐えられない「生」の否定なのです。
2020年11月20日
この記事へのコメント