オーストラリアの原住民のアボリジニは、世界でも最も古い文化を残してきた人々の一つです。
アボリジニの社会は、男性も女性も多段階のイニシエーションを備えていて、「ドリーミタイム」と呼ばれる霊的次元に深く同調するように、生涯をかけてその成長を目指します。
アボリジニの文化は人類の原型的な文化ですが、精神的な側面では完成された文化でしょう。
<トーテム先祖の創世神話>
アボリジニの文化は、トーテミズムの特徴を持っています。
「トーテム先祖」は、特定の氏族の先祖であり、特定の動物や植物、天体、自然などの先祖でもあり、両者の魂がそこに帰り、そこから生まれる存在です。
「トーテム先祖」は、神話の時代に人間の姿になったり、動物の姿になったりしましたが、その性質は、人間には内面に、動物には外面に与えられます。
ただ、アボリジニには、この氏族のトーテム以外にも、性別(母系半族、父系半族)に関わるトーテムと、「パワー・アニマル(守護霊)」としての個人のトーテムがあります。
また、アボリジニにおいては、トーテムは、人間を動物だけでなく、土地と強く結びついています。
アボリジニの神話では、「トーテム先祖」のは、多くは地下から現れて(一部は天から)、長い旅をし、地形を作り、聖地を作り、名づけを行い、法(タブー)と儀礼をもたらしました。
そして、人間と動物を生み、また、「霊的子供」を生みました。
「霊的子供」は、水場などにいて、近くを訪れた女性の中に直接入ったり、男性が狩る動物の中に入って食されることで女性の中に入ったりして、人間の赤ん坊として生まれます。
「トーテム先祖」が旅した道は、「ソングライン」とも呼ばれ、これに沿って歩いて狩りを行います。
また、この道は交易のネットワークにもなりました。
聖地を多くは、井戸や泉などの水場であり、そこは人間が生まれ、死者が一旦戻って行く場所です。
また、聖地は、動・植物を殺さないタブーの場所でもあります。
アランダ族の神話では、原初に、水溜りに胎児のような原人間達が、つながった状態で存在しました。
また、「トーテム先祖」が大地の下で眠っていました。
「ドリームタイム」が始まると、この原人間は、大地から生まれて、放浪して大地を形作りました。
そして、「トーテム先祖」がこの原人間を引き離して、口・目・鼻を開けました。
こうして人間が誕生しましたが、最初の人間達は文化を作って英雄になりました。
また、「トーテム先祖」は、その歩んだところどころに「霊的子供」を残しました。
「トーテム先祖」は地下へ帰りましたが、彼らが地上で誕生した地と帰還した地は、祭儀の場所となりました。
アボリジニが持っている「チュリンガ」という祭儀は、この「トーテム祖先」の通った道や宿の場所が表現されています。
別の「トーテム先祖」の神話では、眠っている「トーテム先祖」の体にトーテム動物達が入ったり、体からトーテム動物達が生まれたりします。
そして、人間は、「トーテム先祖」の脇の下から生まれます。
また、「トーテム先祖」が「チュリンガ」になり、その中に「霊的子供」がいます。
このように、「トーテム先祖」は、各氏族にとっての霊魂、文化、大地の環境の創造力そのものであり、その原型的存在です。
<虹蛇>
北部、中央部など各地の諸部族は、様々な名前で呼ばれる「虹蛇」を信仰しています。
「虹蛇」は、生命を与える水の化身であり、創造と豊穣、霊魂の根源的存在です。
「虹蛇」は、両性具有的存在ですが、その外的形態は男性(男根)であり、内部は女性であるとも考えられています。
また、水晶との対比した場合には女性原理とされます。
「虹蛇」は、大地と宇宙のエネルギーであり、池の底に住み、大地と天空を結びます。
「ドリームタイム」には、雨を司って、洪水をもたらしました。
クンウィンジク族の神話によれば、原初の創造的存在である「インガルナ」が「虹蛇」を生み、「虹蛇」が万物を生みました。
ある部族の神話では、「虹蛇」から生まれた口のない原人間が、大地を作り、「霊的子供」を残して、「虹蛇」に戻りました。
また、ある部族の神話では、「虹蛇」が、大地を作り、魚を作り、精霊達を生みました。
部族によっては、「虹蛇」は、成人イニシエーションで、人を飲み込み、吐き出します。
部族によっては、儀礼やうなり板などをもたらした存在でもあります。
ちなみに、アボリジニは、人間のヘソの奥に「虹蛇」が眠っていて、額からその力を放つと「強力な眼」と呼ばれます。
この肉体内の「虹蛇」は、インドのクンダリニーと同じでしょう。
アボリジニ文化には、南インドとのつながりがあります。
<宇宙像と死生観>
アボリジニの至高の神々は、東部などでは、「天空の勇者たち」、「万物の父」などと呼ばれる存在です。
天空は石英に満ち、この「天空の父」の口にも石英が満ちています。
アランダ族の神話によれば、この神は「偉大な父(クンガリチャ)」と呼ばれます。
この神は至高神的存在ですが、人間に無関心、地上や文化などの創造とほとんど無関係な存在です。
ですが、部族によっては、「天空の父」が地形や人間を作ったとする場合もあります。
一方、北部などの諸部族では、「多産なる母」、「万物の母」などと呼ばれる存在の信仰があります。
アボリジニは、「割れ目のある水晶(虹が生じる水晶)」が創造の起原となる存在であると考えます。
これは「天空にある水晶の玉座」とも表現されます。
その「透明な水晶」の部分は、「万物の父」です。
それから生まれる「虹」は、「万物の母」であり、「虹蛇」であり、諸々の先祖を生む存在であす。
・天空の父:水晶
・万物の母:虹
アボリジニの世界観によれば、3つの世界があります。
そして、人間の魂は、それぞれに対応する3つの部分からなります。
・死者の世界 :天空 :男性原理
・まだ生まれていない者の世界:水溜り等:男性原理
・生者と死につつある者の世界:地上 :女性原理
「死者の国」は、天上の星団(天空の水溜り)にあります。
死者は、「霊的なカヌー」に乗って、「死者の島」を経て、「死者の国」に至ります。
人間の魂の循環は、水の循環(天・雨・水場)と重ねられます。
「男性原理」は、「死の原理」であり、肉体では「精子」に象徴されます。
後述するように、長老は、多段階のイニシエーションを経て、天空の世界に一体化していきます。
<ドリームタイムとドリーミング>
アボリジニは、神話的時代を「ドリームタイム」と呼びます。
「原初の時」、「昔々」という意味ですが、「物語」という意味もあります。
ですが、「ドリームタイム」は、現在でも存在して働いているので、「あの世(根の国)」といった意味合いもあります。
また、それが地上に現れることも意味します。
「ドリームタイム」とほとんど類似した言葉に「ドリーミング」があります。
「ドリーミング」は、そこにいる「トーテム先祖」を意味します。
また、「トーテム先祖」が生んだ「霊的子供」は、「受胎ドリーミング」と呼ばれます。
さらには、「ドリーミング」は、これらに関する信仰をも意味します。
ただ、「ドリームタイム」はオーストラリアの人類学者の翻訳であって、原語では、例えば、有名なアランダ族の場合は「アルチェリンガ」です。
「ドリームタイム」は、地上世界(日常の認識世界)を作っている基盤となる世界です。
地上の形態を形成する創造力であり、その原型です。
「ドリームタイム」の世界は、大地の中に種や根があるようなイメージで捉えることができます。
この「種」は、一種の「イデア」、「元型」のような存在です。
これはワルビリ族の言葉では、「グルワリ(トーテムデザイン)」と呼ばれます。
「ドリームタイム」から地上世界が生まれることは、内的・心的・潜在的なものが、外的・物質的・具体的なものになるという創造のプロセスです。
あるアボリジニは、白人に対して、人間や動物は「ドリームタイム」の「トーテム先祖」の写真(つまり、写像)なのだと、説明しました。
アボリジニの「ドリームタイム」と地上の関係は、日本語の「根の国(常世)」と「現世(ウツシヨ」の関係と同じです。
アボリジニは、日常で現実のカンガルーを見ている時も、常にその背後にある、カンガルーを形作っている潜在的な力である「ドリームタイム」のカンガルーを感じています。
これはプロセス指向心理学が言う「24時間の明晰夢」と似ています。
意識的な言葉やイメージの背景にある、直観的、フィーリング的なものに注意をしているのでしょう。
<高位イニシエーション>
アボリジニの社会では、男性も女性も、死ぬまで多数のイニシエーションを行います。
ある部族の男性には、十数段階のイニシエーションがあって、それらを通過することで高位の長老になります。
擬死を体験するイニシエーションを体験するごとに、「死」の世界、つまり、「ドリームタイム」の世界、潜在意識の世界に、自己の意識を深めていくのです。
最初の成人イニシエーションでは、夢を見ながらそれを自覚する覚醒夢の見方や、ダンスによってトランス状態に入ることも学びます。
男性は、成人のイニシエーションでは、世界の他の地域でも見られるように、男性器の包皮切開を行います。
ですが、これに続くイニシエーションでは、尿道切開を行う場合があります。
これは、女性のように小便を放つようになるため、つまり、両性具有的存在になるためのものです。
また、イニシエーションで、他にも肉体を傷つけることがありますが、これは、「ドリームタイム」のエネルギーの象徴であり、先祖とのつながりの証となります。
女性の成人イニシエーションでは、水の中に沈められる体験をします。
これは世界の他の地域でも見られるもので、浄化の儀礼とも考えられますが、ひょっとしたら、アボリジニにおいては「虹蛇」や「霊的子供」と関係するのかもしれません。
成人した女性には、体を赤く塗ったり、白い三日月を描いたりすることもあります。
これは、月経を月から受ける存在になったことを示します。
アボリジニの社会では、先祖とのコミュニケーションは、高位の長老が担います。
高位イニシエーションは、天空の英雄とトーテム先祖が司ります。
高位イニシエーションは、天空、地上、地下の3つの領域を自由に往来できることを目指します。
高位の長老になることは、天空のエネルギーと一体になることです。
死に臨んだ長老は、青空を眺めて、そこに見える光の粒子と一体化する瞑想を行います。
アボリジニでは、死者が生前にどの位階まで進んだかによって、その人間の埋葬法が変わります。
高位イニシエーションでは、水晶を体に埋め込まれたり、後頭部から脳中枢に槍を突き刺されたりといった体験をすることがあります。
実際に、例えば舌に水晶を埋め込む場合もあります。
高位の長老は、トランス状態で、糸が絡み合ってできた網と、そこに夢やビジョンがぶら下がっているのを見ます。
ですが、恐れがあると、それらが見えなくなります。
また、アボリジニが、狩猟民から牧畜民に変化すると、やはり霊視の力を失うそうです。
2020年11月17日
2020年11月12日
沖縄の池間島のコスモロジー
沖縄の池間島には、典型的なシャーマン的コスモロジーが伝えられています。
これは沖縄地方のコスモロジーの典型ではありませんが、驚くほどよくできた、素晴らしいコスモロジーです。
松居友「沖縄の宇宙像」を参照してこれを簡単に紹介します。
<沖縄・久高島の宗教文化の成り立ち>
その前に、沖縄地方の久高島の宗教文化の成り立ちについて概説します。
久高島は、琉球列島の中央に位置し、近年に至るまで豊富な儀礼を残し、その研究もされてきました。
そのため、沖縄地方の典型的な宗教文化の成り立ちを知るために適しているのです。
久高島の宗教・儀礼は次のような3種類に分類できます。
この島の、そして、沖縄の宗教文化は、こういった複数の文化が複合したものだと言えます。
(祭祀者) (祭神)
1 ソールイ :竜宮神
2 ムトゥガミ:ニライカナイのムトゥ神
3 ノロ :天上の祖神
1は、漁撈を行う男性の年齢階梯結社である「ソールイ(ソールイガナシー)」が、主に海底他界と考えられる竜宮の神を祀ります。
この神は、漁撈の神であり、蛇神です。
彼らは、竜宮(外洋)からの来訪神(マレビト)の祭祀を行います。
この祭祀は、八重山諸島のアカマタ・クロマタ祭祀などと同類のものです。
これらは、先オーストロネシア的な地中から始祖が出現したとする神話を持ち、芋類などの根菜栽培を行う、東南アジア系の文化であると考えられます。
2は、「ムトゥガミ」という男女の神職が、海上他界で死者の世界でもある「ニラーハラー(ニライカナイ)」の神「ムトゥ」を祀ります。
彼らは、「ニラーハラー」から来訪する「アカハンジャナシー」の祭祀を行います。
「ムトゥ」は「始祖家」という意味で、「ムトゥ」神は、島の創世の始祖神です。
この神は、兄・妹(あるいは夫婦)の2人の神で、氏族を守ります。
来訪神は神女(タマガエー)に憑依しますが、彼女達は、沖縄地方で「ユタ」と呼ばれる霊媒(憑依型シャーマン)です。
この祭祀は、沖縄本島の海神ウンジャミの祭祀と同類のものと考えられます。
これらは、海上他界と蛇霊信仰を持ち、漁撈を行う、南中国系の文化であると考えられます。
3は、女性神職の「ノロ」が、御嶽(ウタキ:沖縄の神社)で、天の神と、祖母霊を祀ります。
天の神は、沖縄地方では一般に「オボツ」の神と呼ばれ、一人の男性神、もしくは、7人の神とされます。
「ノロ」は、死後、「ニラーハラー」の神の承認を受けて、御嶽に守護霊として戻ると考えられています。
祖母霊というのは、先代のノロの霊です。
これらは、天の神が地上の聖地に常住する信仰を持ち、麦作を行う、北方系の文化であると考えられます。
「ノロ」の制度は、琉球王朝によって5世紀ほど前にもたらしたもので、階層的な組織になっています。
「ノロ」は、本島から派遣された「外間ノロ」が仕切り、島の祭祀を担います。
島のすべての主婦は、30-41歳になると「イザイホー」という儀式を経て女性神職である「神女(タマガエー)」になり、やがて「ノロ」に参加(池間ノロ)します。
主婦であるノロは、祖母の霊を祀り、家庭の祭祀を担います。
それとは別に、若くしてシャーマン病のような状態になった女性は、ユタの判断で、「ムトゥガミ」になり、氏族の祭祀を担います。
また、沖縄には、「オナリ信仰」というのがあって、これは妹が兄を守護するとする信仰です。
上記の3者の間では、「ノロ」が「ソールイ」の守護霊となるという関係で、「オナリ信仰」が表現されています。
*この項、主に吉成直樹「マレビトの文化史」を参照
<池間島の宇宙像>
池間島は、宮古島の北西にあるごく小さな島です。
この島の宗教文化も、上記のように複数の文化の複合を経験しているハズですが、それらが見事に統合されたシャーマン的な宇宙像を持っています。
世界は「天上」、中の国である「地上」、「ニッラ(ニライカナイ)」と呼ばれる祖霊(マウカン)のいる根の国である「地下」(地上と逆さまな世界)の3つからなります。
池間島の人々は北方シャーマニズムと同じく7を聖数にしていたためか、天球は7層で構成されています。
上から、太陽/月/北極星/オリオン座の3つ星/北斗七星/サソリ座/南斗六星に対応する天球です。
それぞれの天体が神でもあって、この7神が御嶽に祭られます。
(池間島の宇宙像)
天上
・太陽の男神
・月の女神
・北極星の女神ネノハンマティダ :中央
・オリオン座3つ星の男神ナイカニ :東
・北斗七星(天への舟)ウトゥユンバジュルク:北
・サソリ座の火の神ミサダメ :西
・南斗六星の蛇神(ニッラへの舟)バカバウ :南
---------
地上(中の国)
・中央の柱ナカドゥラ神
---------
ニッラ(根の国)
・南極星の男神ウマノハノユーヌヌス
太陽神は男神で、月神は女性です。
両神は常に天を巡り、地上にはやってこないので、御嶽には座がありません。
池間島は地上の中心であり、北極星の間には軸があって、これを中心に天球と地が回ります。
オリオン、北斗、サソリ座、南斗はそれぞれ東、北、西、南に対応します。
天に昇って北極星の穴を抜けて天上に上がると、山や湖があって北極星の女神「ネノハンマティダ」がいます。
湖の水は生命の水で、女神は生命の水の女神でもあるのです。
北極星の女神は地上の生命の生死を司る最高神的存在です。
地上の御嶽には北極星の使者の神(小熊座?)がいます。
北斗七星は霊魂を天に運ぶ舟です。
北斗は北から東を回って天に昇ります。
この舟は、地上⇔北⇔東⇔天上 の間を航海します。
東を示すオリオンの3つ星は男神で、天への登り口である東を示します。
オリオンの3つ星は航海の神ですが、これは天上への航海でもあるのです。
天に昇る霊魂は北斗に乗って東から昇り、天の川を進みます。
西のサソリ座の神は火の神で、人の行ないを監視して天の神に報告する神です。
そして、ニッラへの降り口を示します。
南斗は生命力を与える蛇の神です。
そして、地下の国と地上を結ぶ舟でもあり、南極星の使者です。
この舟は、地上⇔西⇔南⇔ニッラ の間を航海します。
ニッラには男神である南極星の神「ウマノハノユーヌヌス」がいます。
この神はユーと呼ばれる生命力を地上に与えます。
ニッラは汚れた場所ではなく、生命力の基盤である「根の国」なのです。
ニッラには、西の水平線からではなく、海岸の洞窟などから降りていくこともできます。
<池間島の死生観>
人が誕生した時には、東にある井戸の水を浴びせ、亡くなった時は、西にある井戸の水を浴びせます。
一般の人は、死後、地下のニッラに行きます。
ニッラは祖霊がいる場所です。
墓は、死者にとってニッラに行くまでの仮の家とされます。
死者は、墓と生活空間を行き来しますが、この期間は、いわゆる殯(もがり)の期間で9日間です。
その期間が終わると、洗骨をし、骨は「祖先墓」に移されます。
そして、ニッラに行きますが、3ヶ月の移行期間は行き来をします。
その後に、祖霊となります。
ですが、一般の人と違って、シャーマンや王族のような一部の人間は、死後、天に行きます。
<池間島の祭儀>
池間島の大きな祭は、正月に相当する「サウガツ」、盆・収穫祭に相当する「ミャークヅツ」、立冬祭に相当する「ユークイ」です。
年末には祖霊や地下、地上(御嶽)の神々が天上に集まります。
この時、地上の人々の行ないが報告され、祖霊は人間の弁護をします。
これは、本土の神々が出雲に集う「神無月」に相当するでしょう。
本土の神々は出雲から西方の「常世」に行くのでしょう。
次に、元旦に天の神々によって1年の計画が決められ、7日にはその計画表を地上の神が持って戻ります。
次に、満月の15日の小正月には、地上に戻った祖神が、地上を訪れるので、感謝します。
これに対して、盆には天の神々や祖霊が地上に集まります。
そして、太陽神に収穫物が捧げられ、感謝されます。
立冬祭の「ユークイ」は太陽神の力を呼び戻し、来年の豊作を祈願する祭です。
シャーマン的な巫女である神女達の祈願によって、まず、南極星の男神が祖霊と共に生命力を持って南斗の舟で地上にやってきます。
本土で言う七福神の乗る「宝舟」です。
次に、南極星の男神や祖霊、そしてシャーマンのように脱魂した神女達は北斗の舟に乗り換えて天上にまで昇ります。
そして、太陽神と向かい合い、南極星の男神と北極星の女神は聖婚を行ないます。
これによって太陽神が喜び、復活します。
次に、南極星の男神や祖霊はニッラにまで戻って、生命力ユーを本格的に目覚めさせます。そして再度、地上にそれらをもたらしにやってきます。
*池間島の部分は、松居友「沖縄の宇宙像」を参照
これは沖縄地方のコスモロジーの典型ではありませんが、驚くほどよくできた、素晴らしいコスモロジーです。
松居友「沖縄の宇宙像」を参照してこれを簡単に紹介します。
<沖縄・久高島の宗教文化の成り立ち>
その前に、沖縄地方の久高島の宗教文化の成り立ちについて概説します。
久高島は、琉球列島の中央に位置し、近年に至るまで豊富な儀礼を残し、その研究もされてきました。
そのため、沖縄地方の典型的な宗教文化の成り立ちを知るために適しているのです。
久高島の宗教・儀礼は次のような3種類に分類できます。
この島の、そして、沖縄の宗教文化は、こういった複数の文化が複合したものだと言えます。
(祭祀者) (祭神)
1 ソールイ :竜宮神
2 ムトゥガミ:ニライカナイのムトゥ神
3 ノロ :天上の祖神
1は、漁撈を行う男性の年齢階梯結社である「ソールイ(ソールイガナシー)」が、主に海底他界と考えられる竜宮の神を祀ります。
この神は、漁撈の神であり、蛇神です。
彼らは、竜宮(外洋)からの来訪神(マレビト)の祭祀を行います。
この祭祀は、八重山諸島のアカマタ・クロマタ祭祀などと同類のものです。
これらは、先オーストロネシア的な地中から始祖が出現したとする神話を持ち、芋類などの根菜栽培を行う、東南アジア系の文化であると考えられます。
2は、「ムトゥガミ」という男女の神職が、海上他界で死者の世界でもある「ニラーハラー(ニライカナイ)」の神「ムトゥ」を祀ります。
彼らは、「ニラーハラー」から来訪する「アカハンジャナシー」の祭祀を行います。
「ムトゥ」は「始祖家」という意味で、「ムトゥ」神は、島の創世の始祖神です。
この神は、兄・妹(あるいは夫婦)の2人の神で、氏族を守ります。
来訪神は神女(タマガエー)に憑依しますが、彼女達は、沖縄地方で「ユタ」と呼ばれる霊媒(憑依型シャーマン)です。
この祭祀は、沖縄本島の海神ウンジャミの祭祀と同類のものと考えられます。
これらは、海上他界と蛇霊信仰を持ち、漁撈を行う、南中国系の文化であると考えられます。
3は、女性神職の「ノロ」が、御嶽(ウタキ:沖縄の神社)で、天の神と、祖母霊を祀ります。
天の神は、沖縄地方では一般に「オボツ」の神と呼ばれ、一人の男性神、もしくは、7人の神とされます。
「ノロ」は、死後、「ニラーハラー」の神の承認を受けて、御嶽に守護霊として戻ると考えられています。
祖母霊というのは、先代のノロの霊です。
これらは、天の神が地上の聖地に常住する信仰を持ち、麦作を行う、北方系の文化であると考えられます。
「ノロ」の制度は、琉球王朝によって5世紀ほど前にもたらしたもので、階層的な組織になっています。
「ノロ」は、本島から派遣された「外間ノロ」が仕切り、島の祭祀を担います。
島のすべての主婦は、30-41歳になると「イザイホー」という儀式を経て女性神職である「神女(タマガエー)」になり、やがて「ノロ」に参加(池間ノロ)します。
主婦であるノロは、祖母の霊を祀り、家庭の祭祀を担います。
それとは別に、若くしてシャーマン病のような状態になった女性は、ユタの判断で、「ムトゥガミ」になり、氏族の祭祀を担います。
また、沖縄には、「オナリ信仰」というのがあって、これは妹が兄を守護するとする信仰です。
上記の3者の間では、「ノロ」が「ソールイ」の守護霊となるという関係で、「オナリ信仰」が表現されています。
*この項、主に吉成直樹「マレビトの文化史」を参照
<池間島の宇宙像>
池間島は、宮古島の北西にあるごく小さな島です。
この島の宗教文化も、上記のように複数の文化の複合を経験しているハズですが、それらが見事に統合されたシャーマン的な宇宙像を持っています。
世界は「天上」、中の国である「地上」、「ニッラ(ニライカナイ)」と呼ばれる祖霊(マウカン)のいる根の国である「地下」(地上と逆さまな世界)の3つからなります。
池間島の人々は北方シャーマニズムと同じく7を聖数にしていたためか、天球は7層で構成されています。
上から、太陽/月/北極星/オリオン座の3つ星/北斗七星/サソリ座/南斗六星に対応する天球です。
それぞれの天体が神でもあって、この7神が御嶽に祭られます。
(池間島の宇宙像)
天上
・太陽の男神
・月の女神
・北極星の女神ネノハンマティダ :中央
・オリオン座3つ星の男神ナイカニ :東
・北斗七星(天への舟)ウトゥユンバジュルク:北
・サソリ座の火の神ミサダメ :西
・南斗六星の蛇神(ニッラへの舟)バカバウ :南
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地上(中の国)
・中央の柱ナカドゥラ神
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ニッラ(根の国)
・南極星の男神ウマノハノユーヌヌス
太陽神は男神で、月神は女性です。
両神は常に天を巡り、地上にはやってこないので、御嶽には座がありません。
池間島は地上の中心であり、北極星の間には軸があって、これを中心に天球と地が回ります。
オリオン、北斗、サソリ座、南斗はそれぞれ東、北、西、南に対応します。
天に昇って北極星の穴を抜けて天上に上がると、山や湖があって北極星の女神「ネノハンマティダ」がいます。
湖の水は生命の水で、女神は生命の水の女神でもあるのです。
北極星の女神は地上の生命の生死を司る最高神的存在です。
地上の御嶽には北極星の使者の神(小熊座?)がいます。
北斗七星は霊魂を天に運ぶ舟です。
北斗は北から東を回って天に昇ります。
この舟は、地上⇔北⇔東⇔天上 の間を航海します。
東を示すオリオンの3つ星は男神で、天への登り口である東を示します。
オリオンの3つ星は航海の神ですが、これは天上への航海でもあるのです。
天に昇る霊魂は北斗に乗って東から昇り、天の川を進みます。
西のサソリ座の神は火の神で、人の行ないを監視して天の神に報告する神です。
そして、ニッラへの降り口を示します。
南斗は生命力を与える蛇の神です。
そして、地下の国と地上を結ぶ舟でもあり、南極星の使者です。
この舟は、地上⇔西⇔南⇔ニッラ の間を航海します。
ニッラには男神である南極星の神「ウマノハノユーヌヌス」がいます。
この神はユーと呼ばれる生命力を地上に与えます。
ニッラは汚れた場所ではなく、生命力の基盤である「根の国」なのです。
ニッラには、西の水平線からではなく、海岸の洞窟などから降りていくこともできます。
<池間島の死生観>
人が誕生した時には、東にある井戸の水を浴びせ、亡くなった時は、西にある井戸の水を浴びせます。
一般の人は、死後、地下のニッラに行きます。
ニッラは祖霊がいる場所です。
墓は、死者にとってニッラに行くまでの仮の家とされます。
死者は、墓と生活空間を行き来しますが、この期間は、いわゆる殯(もがり)の期間で9日間です。
その期間が終わると、洗骨をし、骨は「祖先墓」に移されます。
そして、ニッラに行きますが、3ヶ月の移行期間は行き来をします。
その後に、祖霊となります。
ですが、一般の人と違って、シャーマンや王族のような一部の人間は、死後、天に行きます。
<池間島の祭儀>
池間島の大きな祭は、正月に相当する「サウガツ」、盆・収穫祭に相当する「ミャークヅツ」、立冬祭に相当する「ユークイ」です。
年末には祖霊や地下、地上(御嶽)の神々が天上に集まります。
この時、地上の人々の行ないが報告され、祖霊は人間の弁護をします。
これは、本土の神々が出雲に集う「神無月」に相当するでしょう。
本土の神々は出雲から西方の「常世」に行くのでしょう。
次に、元旦に天の神々によって1年の計画が決められ、7日にはその計画表を地上の神が持って戻ります。
次に、満月の15日の小正月には、地上に戻った祖神が、地上を訪れるので、感謝します。
これに対して、盆には天の神々や祖霊が地上に集まります。
そして、太陽神に収穫物が捧げられ、感謝されます。
立冬祭の「ユークイ」は太陽神の力を呼び戻し、来年の豊作を祈願する祭です。
シャーマン的な巫女である神女達の祈願によって、まず、南極星の男神が祖霊と共に生命力を持って南斗の舟で地上にやってきます。
本土で言う七福神の乗る「宝舟」です。
次に、南極星の男神や祖霊、そしてシャーマンのように脱魂した神女達は北斗の舟に乗り換えて天上にまで昇ります。
そして、太陽神と向かい合い、南極星の男神と北極星の女神は聖婚を行ないます。
これによって太陽神が喜び、復活します。
次に、南極星の男神や祖霊はニッラにまで戻って、生命力ユーを本格的に目覚めさせます。そして再度、地上にそれらをもたらしにやってきます。
*池間島の部分は、松居友「沖縄の宇宙像」を参照
2020年11月11日
秘密結社と多段階イニシエーション
伝統的な部族社会で霊的な活動を担うのは、主にシャーマンか秘密結社のリーダー達、場合によっては、長老的存在です。
秘密結社のリーダ達やある種の長老になるためには、多段階のイニシエーションを通過する必要がある社会もあります。
<秘密結社>
世界の地域によって、霊的な活動を主にシャーマンが担う社会と、多数の秘密結社が担う社会があります。
例えば、西アフリカでは、多数の秘密結社が存在します。
ただ、すべての秘密結社が霊的な知識や技術を持つとは限りません。
多くの部族文化には秘密結社が存在し、それはごくありふれた存在です。
多数の秘密結社がある社会では、誰もが複数の結社に属します。
秘密結社の目的は、社会の中での特定の役割を果たすことであり、また、そのためにメンバーを守ることです。
秘密結社は、メンバー外の人間には、その活動、知識などを秘密にします。
メンバーそのものを秘密にする場合もあります。
狭義の「秘密結社」は、この意味の結社かもしれません。
また、秘密結社とそうでない集団には厳密な区別がない場合もあります。
その結社のメンバーを回りの者が知っていても、知らないふりをする社会もあります。
秘密結社の主な種類には、年齢的集団や職業集団、儀礼集団などがあります。
秘密結社には、歳をとって成長するにしたがって誰もが加入するタイプの集団と、自分の意志で加入するタイプの集団があります。
秘密結社には、同性で同年齢(あるいは近い年齢)の集団である「年齢集団」があります。
これには子供や成人、長老のように、もう少し幅の広い年齢的集団もあります。
父親や母親のような家族の役割に関わる結社もあります。
「長老集団」は部族の最高会議を構成しています。
長老達は多くの知識を持っていますが、相手が倫理的、知的に十分な資質を持っているかを慎重に判断してからしか何も教えません。
また、それぞれの職業に応じた「職業集団」があります。
特に「狩猟者」と「鍛冶屋」の集団は、見えない力をコントロールできる高い力を持っていると考えられて、尊敬されると共に恐れられました。
これら以外にも様々な儀式を司るような「秘密結社」と呼ばれる集団があります。
来訪神の儀礼、葬儀の儀礼、特別なイニシエーション儀礼などの集団です。
日本では、秋田のナマハゲや沖縄のアカマタ・クロマタのような来訪神の儀礼は、本来は秘密結社が担っていたものです。
米北西部のインディアンで有名な「アザラシ結社」が冬に行うイニシエーション儀礼は、「人食い怪物」に食べられる擬死再生儀礼で、これによって「人食い怪物」の性質を持った立派な人間になると考えます。
別のページで書いたように、これは夏に人間が動物を狩猟して食べて冥界に送ることと、ちょうど対称的です。
<秘密結社の社会の多重構造>
多数の秘密結社を持つ社会は、多重な組織構造からできている社会です。
また、社会によっては、昼と夜、光と闇、夏と冬、表と裏といった言葉に象徴されるような、双極的な構造を持った社会があります。
このような社会では、各人はそれぞれの組織に関わる2種のパーソナリティを持ちます。
例えば、北米のクワキウトゥル族など、北米には双極的な文化を持っている部族があって、冬に多数の秘密結社が活動します。
秘密結社にはリーダーがいますが、彼(彼女)は、単に1つの結社のリーダーでしかありません。
誰がリーダーであるかは、部外者には知られていないこともあります。
社会に複数の秘密結社があると、誰もが部族の知識の全体を知ることはできず、また、権力や尊敬を独占することができないようになっているのです。 こういった権力の分散は、部族社会の特徴です。
秘密結社は、イニシエーション(入社式・加入儀礼、入門儀礼)を持っていることが普通です。
中には、多段階の位階とイニシエーショを持っている場合もあります。
位階に応じて、知識や技術が開示され、教育がなされます。
ですが、こういった秘密結社の儀礼や技術についてはほとんど分かっていません。
おそらくアボリジニーがそうであるように、必ずしも秘密結社という形を取らずとも、多段階のイニシエーションを持つ文化もあります。
アボリジニーのある部族では、男性に十数段階のイニシエーションがあります。
「秘密結社」が持つ知識や技術には、物質的なものもあれば、霊的な力をコントロールしたり、特定の精霊や先祖とコミュニケートする能力などがあります。
西アフリカでは、秘密結社は具体的な知識だけでなく、それぞれが固有のダンスや音楽を持っています。
これらは見えない力のコントロールと関係しています。
このような部族の秘密結社のあり方、秘密主義と位階構造は、後の様々な神秘主義の団体に受け継がれました。
秘密結社のリーダ達やある種の長老になるためには、多段階のイニシエーションを通過する必要がある社会もあります。
<秘密結社>
世界の地域によって、霊的な活動を主にシャーマンが担う社会と、多数の秘密結社が担う社会があります。
例えば、西アフリカでは、多数の秘密結社が存在します。
ただ、すべての秘密結社が霊的な知識や技術を持つとは限りません。
多くの部族文化には秘密結社が存在し、それはごくありふれた存在です。
多数の秘密結社がある社会では、誰もが複数の結社に属します。
秘密結社の目的は、社会の中での特定の役割を果たすことであり、また、そのためにメンバーを守ることです。
秘密結社は、メンバー外の人間には、その活動、知識などを秘密にします。
メンバーそのものを秘密にする場合もあります。
狭義の「秘密結社」は、この意味の結社かもしれません。
また、秘密結社とそうでない集団には厳密な区別がない場合もあります。
その結社のメンバーを回りの者が知っていても、知らないふりをする社会もあります。
秘密結社の主な種類には、年齢的集団や職業集団、儀礼集団などがあります。
秘密結社には、歳をとって成長するにしたがって誰もが加入するタイプの集団と、自分の意志で加入するタイプの集団があります。
秘密結社には、同性で同年齢(あるいは近い年齢)の集団である「年齢集団」があります。
これには子供や成人、長老のように、もう少し幅の広い年齢的集団もあります。
父親や母親のような家族の役割に関わる結社もあります。
「長老集団」は部族の最高会議を構成しています。
長老達は多くの知識を持っていますが、相手が倫理的、知的に十分な資質を持っているかを慎重に判断してからしか何も教えません。
また、それぞれの職業に応じた「職業集団」があります。
特に「狩猟者」と「鍛冶屋」の集団は、見えない力をコントロールできる高い力を持っていると考えられて、尊敬されると共に恐れられました。
これら以外にも様々な儀式を司るような「秘密結社」と呼ばれる集団があります。
来訪神の儀礼、葬儀の儀礼、特別なイニシエーション儀礼などの集団です。
日本では、秋田のナマハゲや沖縄のアカマタ・クロマタのような来訪神の儀礼は、本来は秘密結社が担っていたものです。
米北西部のインディアンで有名な「アザラシ結社」が冬に行うイニシエーション儀礼は、「人食い怪物」に食べられる擬死再生儀礼で、これによって「人食い怪物」の性質を持った立派な人間になると考えます。
別のページで書いたように、これは夏に人間が動物を狩猟して食べて冥界に送ることと、ちょうど対称的です。
<秘密結社の社会の多重構造>
多数の秘密結社を持つ社会は、多重な組織構造からできている社会です。
また、社会によっては、昼と夜、光と闇、夏と冬、表と裏といった言葉に象徴されるような、双極的な構造を持った社会があります。
このような社会では、各人はそれぞれの組織に関わる2種のパーソナリティを持ちます。
例えば、北米のクワキウトゥル族など、北米には双極的な文化を持っている部族があって、冬に多数の秘密結社が活動します。
秘密結社にはリーダーがいますが、彼(彼女)は、単に1つの結社のリーダーでしかありません。
誰がリーダーであるかは、部外者には知られていないこともあります。
社会に複数の秘密結社があると、誰もが部族の知識の全体を知ることはできず、また、権力や尊敬を独占することができないようになっているのです。 こういった権力の分散は、部族社会の特徴です。
秘密結社は、イニシエーション(入社式・加入儀礼、入門儀礼)を持っていることが普通です。
中には、多段階の位階とイニシエーショを持っている場合もあります。
位階に応じて、知識や技術が開示され、教育がなされます。
ですが、こういった秘密結社の儀礼や技術についてはほとんど分かっていません。
おそらくアボリジニーがそうであるように、必ずしも秘密結社という形を取らずとも、多段階のイニシエーションを持つ文化もあります。
アボリジニーのある部族では、男性に十数段階のイニシエーションがあります。
「秘密結社」が持つ知識や技術には、物質的なものもあれば、霊的な力をコントロールしたり、特定の精霊や先祖とコミュニケートする能力などがあります。
西アフリカでは、秘密結社は具体的な知識だけでなく、それぞれが固有のダンスや音楽を持っています。
これらは見えない力のコントロールと関係しています。
このような部族の秘密結社のあり方、秘密主義と位階構造は、後の様々な神秘主義の団体に受け継がれました。